台湾食文化歴史
一つの国しか知らないことはどこの国も知らないことと同じである。
現在、台湾の人口の大半が漢民族によって成り立っています。
実際「台湾」という単語を耳にすると、中華系文化を最初に発想する方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際のところ、漢民族の台湾への移住が活発になったのは、約400年前頃からの事です。
それより前は、中国行政が台湾を管轄しており、「台湾原住民を主軸とする部族社会」から「オランダ植民地時代(1624年~1661年)」へ、という、歴史的変遷を果たしてきたと表現できるのです。
まとめると、「台湾料理」とは、最近の400年の間で、中国から移住者によって、各地方の食文化が輸入・合流する事で確立した、中華料理の種類の内の一つと言えます。
では、台湾料理の確立に際して、実際に受けたと考えられる食文化について、詳しく見ていきましょう。
17世紀頃に閩南語を扱う漢民族が、台湾に移り住んだ時に伝達した、福建料理系統の食文化。
18世紀頃に客家語を扱う漢民族が、台湾に移り住んだ時に伝達した、客家料理系統の食文化。
17世紀以降に移り住んできた漢民族が、元来存在していた台湾ならではの特産品を、中華料理に取り入れた事で成り立った食文化。
元来存在していた台湾原住民系統の料理の食文化。
台湾が日本に植民地として治められていた頃(1894年~1945年)に、日本人によって広められた日本の食文化。
第二次世界大戦終了後、外省人が、国共内戦に敗北して台湾に移り住んだ時に広めた、中国各地方の食文化。
まとめ
この中で、今の台湾人の根源の70%ほどが、1番目に紹介した閩南系統の漢民族なので、台湾料理の土台は、福建料理だと結論付ける事が可能です。
その福建料理に、上記で紹介した色々な食文化の要素を混ぜ合わせて成り立ったのが、まさに「台湾料理」と言えるのです。
台湾料理
台湾で食される中華料理の中で、主に福建料理を土台にして、台湾で展開された郷土料理の事を指します。
食材では、新竹の米粉、カラスミなどの海産物、筍、エシャロットなどの野菜が、そして料理については、意麺や担仔麺が有名です。
特徴
台湾料理は福建料理を礎にし、台湾産の豊富な食材を盛り込み、郷土料理として独特の進化を果たしてきました。
特徴としては、素朴で淡白な薄味の味付けの料理が大半で、塩分も控えめな事が挙げられます。
また、日本料理や客家料理の文化も反映しており、乾物や塩漬け等も盛んです。一方、コリアンダーなどの香り高い薬味も、よく用いられています。
食材に関しては、鮮度の良い海産物をふんだんに使ったり、旬の野菜を用いたりする料理も盛んである事が、個性として挙げられます。また、食材を無駄にしないために、動物の血液や内臓も余さず使う事が多いです。
肉類は豚肉が中心です。戦後中国から伝達したと考えられています。その他、フカヒレやツバメの巣などもポピュラーな食材です。漢方を料理に盛り込むことも盛ん。さらに精進料理も盛んですが、グルテンや豆腐を用い、魚肉等に似せる技術は相当に発展しています。
料理全体で見れば、素朴で家庭的だと表現する事ができます。一食の分量が少なめであり、屋台文化ともマッチしています。
台湾食文化歴史
台湾は元々植民地で、16世紀辺りから徐々に漢民族が入植してきて、今のような社会を作り上げてきました。その期間中にも何回か長期間、日本やオランダに統治されてきた、という歴史もあります。台湾料理に関しても、このような歴史を映し出し、段々と形成されてきたものであると言えます。
台湾においては、本来の郷土料理に福建料理がミックスされたものが、伝統として作られており、通常、このような形式の料理を「台湾料理(台菜)」と言います。
また、福建省の開拓民とともに移住してきた、広東省東北部出身の「客家」の料理も、現在の台湾料理のベースに、影響を与えているという事。そして戦後、国民党軍が、中国各地から優秀な料理人を引き連れてきた事、なども有名です。香港と同じく、大陸よりもさらに磨き上げられた、各地の料理を味わえると言われています。
さらに日本の統治時に、日本料理の影響も受けています。今でも刺身、寿司、天ぷら、さつま揚げ、おでんなどのメニューが残存しています。
主な料理
・牛肉麺
牛骨や筋から出汁をひいたスープに、太麺を入れ牛肉や高菜を入れた料理。今の台湾料理の中ではもっと有名です。香辛料を多用しているため、独特の風味があります。
・担仔麺
海老出汁の味噌スープに麺を入れ、ネギや、豚そぼろや、もやしを混ぜます。元来は、台南の名物メニューでした。
・大腸麵線
鰹出汁と、梅にんにくの味わい。ドロッとした食感の素麺料理です。その名の通り,輪切りになった「大腸」が含まれています。
・滷肉飯
白米に豚そぼろを乗せ、甘辛だれをかけた料理。
・鶏肉飯
上記の料理のトッピングを、細く裂いた蒸し鶏に変えたもの。
・排骨飯
白米に排骨と炒め野菜などを乗せたメニュー
・肉粽
台湾風ちまき。もち米の中に様々な具材を入れ、蓮の葉などで包んで蒸す。
・鹹蜊仔
茹でシジミをニンニクと一緒に醤油漬けしたも
・菜脯蛋
切り干し大根入りの卵焼き。
・魩仔魚炒土豆
しらす干しと揚げピーナツを、水分が飛ぶまで炒ったもの。
・貢丸湯
肉団子スープ。
・魚丸湯
つみれスープ。
・蛤蜊湯
ハマグリのスープ。人々にかなり親しまれている。
・下水湯
鶏の砂肝と豚のモツのスープ。ショウガが効いています。
・花枝羹、花枝焿
イカのすり身、もしくは切り身が入った、とろとろしたスープ。
・蚵仔煎
台湾風牡蠣オムレツ。刻みキャベツなども入っている。
・棺材板また官財判
揚げ食パンをくりぬいて、クリームシチューを流し込み、パンで閉じたもの。元来は台南の名物。
・油飯
筍、椎茸、鶏肉、等を混ぜて、醤油味に仕上げた、台湾風のおこわ。
・蘿蔔糕
日本では「大根餅」と呼ばれます。細切りにして茹でた大根や、豚ひき肉、ネギ、海老などの具材も入れ、米粉と混ぜ合わせて蒸してから、軽く焼く。
・臭豆腐
豆腐を発酵させた食品。匂いが強い。
・刨冰
かき氷。トッピングは様々にあります。特に雪花冰は練乳入りのものを指します。